■がん遺伝子治療でトラブル相次ぐ…遺族無念「裏切られた」効果なく、訴訟も

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2017年8月14日 (月)配信読売新聞

 がん細胞の増殖を抑えるとされる遺伝子を注入する国内未承認の治療を行うクリニックで、期待した効果を得られなかったとする患者側とのトラブルが相次いでいる。

 効果や安全性が立証されないまま、保険適用外の高額な自由診療で実施するクリニックが問題となっており、専門の学会が国に対策を求めている。

 「生きられると喜んでいた夫は、裏切られた思いに突き落とされました」。東京都内のクリニックでがん遺伝子治療を受け、その後に亡くなった男性患者の妻(49)が取材に心情を語った。

 男性は2014年6月、舌がんが再発し、入院先の大学病院で余命半年と告げられた。息子が何か治療法はないかとインターネットで探し、このクリニックを見つけた。面談した妻に、クリニックの院長(当時)は「ここで命が助かります。遺伝子が変異した状態では抗がん剤や放射線は効かないので、すぐに中止してください」などと説明した。

 男性は大学病院での治療を中止。がんを抑える遺伝子が入っているとする点滴を8回受けたが、大学病院での検査で、がんは逆に大きくなっていたことが分かった。しかし、院長はさらに点滴を促した。再点滴後、震えが止まらず、全身から汗が噴き出した。疑念を持ち、それ以降の治療をやめたが、既に546万円の治療費を払っていた。

 その後、男性はがん専門病院に転院し、同年9月に亡くなった。「何やってんだろう」とこぼした夫の姿を妻は忘れられない。

 昨年3月、妻は治療費や慰謝料など1150万円の損害賠償を求めて提訴。クリニック側は訴えを全面的に受け入れた。「クリニックを見つけた息子や家族も傷ついた。同じ思いをする人が出ないように、正しい情報が行き渡ってほしい」と妻は訴える。このクリニックは他にも患者側との訴訟が2件あったがいずれも和解した。クリニックは本紙の取材に応じていない。

 他にも多くのクリニックが、がん遺伝子治療の案内をホームページに掲載。日本遺伝子細胞治療学会には、この治療に関する相談が寄せられている。専門家などは、患者が治療に疑問を抱くとクリニックが治療費を返還することもあり、トラブルが表面化するのはごく一部とみている。

 同学会の金田安史理事長は「どのような治療が行われ、安全が確保されているのか不透明。有効性が立証されていない治療は制限されるべきだ」と話している。

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【がん遺伝子治療】

 がん細胞の増殖を抑える遺伝子を、運び役となる、体に無害なウイルスなどに入れて体内に注入する。米国や中国、フィリピンで承認された薬はあるが、国内では大学などの研究機関で有効性を確認する臨床研究が進められている段階で、承認された薬はない。

資料 TMSジャパン
蒲田の整体グリーンPCTカイロプラクティック